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The King of Comedy感想(ネタバレ有)- 狂気とコメディー

The King of Comedyを見ました。
Amazonだとこれ↓

内容としては、
売れないコメディアンが有名人になるために
人気番組の司会者を誘拐し、
その人気番組に出演する、というもの。

映画の序盤は、コメディアンと司会者の熱狂的な女の人(ファン?おっかけ?)に対して
「こいつらやべーやつやんけ……」
という気持ちで見ていたのですが、
中盤・後半は、司会者の誘拐という一線を超えてしまい、
「あたまのおかしいひとまじやばい」
という気持ちで映画を見ていました。

序盤〜中盤までは、コメディアンによる現実が見えていない妄想シーンがたびたび挟まれ、コメディアンのお気楽さや現実の見えなさがある種「コメディー」だったのですが、
後半では司会者を女の人とコメディアンが誘拐し、
コメディアンは番組に出演し、女の人は監禁場所で司会者の肉体を求めるのが「狂気」でした。

「誘拐する」ということが実行犯の2人にとっては欲望や夢を実現するための手段でしかなく、「だめなことをしている」感が2人に薄いのが怖かったです。

女の人は司会者の送迎車に勝手に乗り込み、車の中でハグをしたこともあり(もちろん車から追い出されるのですが)、日頃から司会者のストーカーをしており、
コメディアンは司会者の別荘を突き止め、司会者の友人として振る舞い(彼の妄想の中では司会者とコメディアンは友人、ということになっている)、なんのアポもなく泊まろうとする人間なので、司会者の迷惑とか恐怖は考えにもなく、自分の妄想と現実の境目がわかっていない人間ではあるのですが。

コメディアンは司会者を殺すと脅し、念願叶って司会者の番組にコメディの王(King of Comedy)という肩書きで出演するのですが、裏で誘拐劇が起きていることも、本当はコメディの王ではない(実績がない)ことも知らない観客が、彼のトークに対してげらげらと笑っているところも怖さを感じました。
肩書きで騙されてしまっているというか……。

映画の結末としては、逮捕されたコメディアンが出版した自叙伝にすごく人気が出たり、コメディアンが再度TV番組に出演したり、とコメディアンが有名人になって終わります。このシーンは、きっと現実なのだと思いますが、個人的にはコメディアンの妄想であってほしいな、と思いました。

現在の現実(2019年)においても、炎上商法は度々あり、「有名」になりさえすれば「勝ち」であるかのように感じる部分があるので、この結末を現在に重ねて見てしまいました。